第10章 依頼人
だって寂しいのだ。
ダンテに会えない寂しさを我慢して無理に笑い、行けと言っている。
「……わかった」
ダンテはから依頼人に目を移した。
睨む。
「一晩くらい、泊まってやろうじゃねえか」
バージルが驚いてこちらを見たが、構わない。の切ない顔を無駄にしたくなかった。
依頼人は泊まれと言っただけだ。
それなら泊まってやる。
依頼人は微笑んだ。
「よかった。ではすぐにでも…」
「準備がある。待ってろ」
そう言うとダンテは立ち上がり、有無を言わさずの手を引いて自分の部屋に戻った。
部屋に入ってドアを閉めた瞬間、を抱きしめる。
「だ ダンテ…」
「一日もと会えないなんて、耐えらんねえよ」
声がかすれる。
依頼人がだったらよかったのに。切実にそう思い、はダンテの背中に手を回した。
互いの体温を確かめるように、しばらく抱き合う。
「……いつ帰って来れますか?」
「今日中に片付けて、夜が明けたらすぐ帰る」
即答するダンテ。
は涙の浮かんだ顔で微笑んだ。
「ストロベリーサンデー作って待ってます」
「あぁ」