• テキストサイズ

【DMC】RED

第10章 依頼人



「泊まっていった方がいいんじゃないですか?」

不意に不思議そうなの声。
ダンテはぎょっとしてを見た。

「おっまえ……何言って」

「だって泊まるのをすすめるくらいややこしい悪魔なら、それは泊まっていった方が安全じゃないですか」

「……………」

───ああ。

ダンテは唐突に、ものすごく納得した。

───、分かってねえんだな…仕事無しで女と一晩泊まるって事がどういう事なのか。

この依頼、おそらくダンテと一晩過ごすという事が目的で、悪魔退治は建前だ。いや、悪魔がいるというのも嘘かもしれない。
この女は、あちこちでそういう事をしているのだろう。
雰囲気がそれを物語っている。

ダンテはしばらく考え込み、依頼人を睨む。
彼女もそれを真っ直ぐに受け止め自信たっぷりに微笑んでいた。
まるで、断る事は許さない、とでも言うように。

ダンテはに言う。

「泊まる必要なんかねえよ。俺が悪魔退治に1日まるまる費やした事があったか?」

「ない…ですけど」

「じゃあ泊まらなくてもいいだろ?」

「…でも…報酬、2倍でしょ?」

「………」

それを言われると詰まる。
今の報酬金額も相当なものなのに、泊まるだけでこれの2倍なのだ。
しかしだからといって、こんな女と一晩泊まるのなんて嫌だ。
しか見えない今、他の女となんて考えるだけで嫌気とがする。

───どうしたもんかねぇ…

まあ、依頼人の誘いなんて断れば済む話。
だが泊まる意味を知った時、きっとは悲しむだろう。
そんなのは嫌だ。

迷うダンテに、は更に言う。

「行ってきてください。一日だけですし。私、ダンテを信じてますから」

───そうは言ったってなぁ…。にそう言われると、キッツイな。

複雑な感情を抱えてダンテがを見て。
ダンテは目を見張った。

は笑っていた。
笑っているのに、瞳は泣きそうなくらい寂しくて。

思わず手を伸ばしそうになり、ダンテは気づく。

/ 206ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp