第1章 終わらない帰り道
「女を4人がかりで追っかけ回すのは感心しねぇなあ。てめぇら全員欲求不満か?」
そう言ったところで、低級に人間の言葉など理解できるはずもなく。
駆け出す。
「そんなに女追っかけてーんならキャバクラにでも行けよ。いいとこ紹介するぜ?
まあどっちみち、お前らは門前払いだろうけどな!」
大きく剣を振り上げ、ジャンプする。
地でダンテを見上げる悪魔を冷めた目で見据え。
重力に従う身体と同時に勢いよく地面に剣を叩き付け、敵をまっぷたつにした。
1匹目。
そのまま斜めに振り上げ、近寄って来たもう一匹を下から斬り裂く。
2匹目。
さらに反動のまま身を任せて回転させ、背後に迫った悪魔に。
3匹目。
残り1匹。
一瞬下から突き上げて宙に浮かせ、それをまた地面に叩きつけて。
「吹っ飛べ!!」
4匹目。
───すごい…
は思わず息をついた。
あんな怖いのを、1分も経たないうちに倒しちゃった…。
すごい、強い。この赤い人。
いつの間にかは、呆然としてへたりこんでいた。
助かったという安心感に緊張が解けたのだ。
そして、彼をじっと見つめる。
月の光を一心に受けたような、銀を細い糸にしたような、輝く綺麗な銀髪。
水面のように澄んだアイスブルーの瞳。
その瞳は激動にあふれていて、使われなかった背中の双銃が決してお飾りではない事を感じさせる。
身を動かし翻るのは、鈍く光沢を持つ真っ赤な革のコート。
前は大きく開けられて、のぞく肌がなめらかに隆起し、たくましい体つきがうかがえた。
こんなに整った顔と身体を持つ人を見るのは初めてだ。