第10章 依頼人
ダンテはそれを見るとすかさずの頭に手を回し、わずかに離れた顔を自分に押し付ける。
「───ん……」
舌は入れないものの、全て奪いつくすような口付け。
最後にの唇を舌で丁寧になぞり顔を離すと、を抱きしめた。
「もうちょい進歩しねーとな」
「……これでも頑張ったんですけど」
やっぱりこうなってしまった、という思いとともに、恥ずかしさで死にそうになりながら、は言う。
ダンテは笑った。
「まあ、その辺は確かに偉い」
「でしょ?」
ダンテはの体温で温まった身体を離し、彼女の頭にぽんと手をのせた。
「明日も頑張れ」
「……はい」
恥ずかしがりながら答えるに、ダンテは嬉しくなる。
自分の腕におかれているの手を取ると、指先にそっとくちづけを落とした。
愛しそうに、愛しそうに。
「愛してるぜ、」
「私も、愛しています」
何だか結婚式みたいだ。
幸せな気持ちが波紋のように広がった。