第9章 留守番
……あ そうだ。ストロベリーサンデー作ってあげようかな。
ふとした思いつきに、は微笑む。
ダンテの喜んだ顔が浮かんだ。
───うん、作ろう。大好物だって言ってたし。
しかし作ろうにも材料がない。
は少し考え、買い物に行く事にした。
───行く前にバージルに言わなきゃね。
バージルの部屋へ向かい、ドアをノックする。
───多分、ここにいると思うんだけど…
すると案の定、ドアが開いてバージルが現れた。
「あの、ちょっと買い物に行きたいんですけど…」
「………」
バージルはじっとを見た。
───何だろう。駄目なのかな。あ、私が外に出たら危ないとか思って…
すると、ふっとバージルが動く。
「…待っていろ。一緒に行く」
店へは一人でも行けるのだが、今はバージルがの警護をする約束だ。
一人でいいです、とは言えず、は大人しく待った。
やがて準備ができたらしいバージルが、日本刀を持って現れる。
「…あ。その刀…」
「知っているのか?」
「私の世界で、見た事あります」
「そうか」
日本刀のような細長くすっきりとした剣は、バージルによく似合っている。他の世界なのに、これほど似たものがあるのも不思議だ。
そんな他愛もない会話をしながら、二人は買い出しへ出かけた。
───────────
狭い裏路地。
ダンテは塵となった悪魔を一瞥すると、剣を背中に収めた。
「あー…結構遅くなっちまった…お前らのせいだぞ!」
消えた悪魔に毒づく。
に言われた通り怪我をしないように動き回っていたら、次から次へと悪魔は出るし倒すのに時間はかかるしで散々だったのだ。
報酬はもう事務所に振り込んであるはず。
「さっさと帰ろ」
早歩きで歩き出す。
そうして家に近づいて来た時、ふと見覚えのある姿が見えた気がしてダンテは首をめぐらせた。
───あれは…
スーパーマーケットに入って行く二人組。
一人は銀髪の男で、もう一人は黒髪の女。
───バージルとじゃねぇか…!