第9章 留守番
そんな風にダンテが複雑な葛藤をしている様子を、は「安心して留守番を頼めない」ととっていた。
───そうだよね…私全然戦えないし、掃除もちゃんとやれるかわからないし…
でも、ちゃんとやるって決めたんだもん。出来る限り頑張らないと…!
こっちもこっちで葛藤を始める。
そんな二人を見ていたバージルは、二人の考えている事が手にとるようにわかっていたたまれなかった。
何をやっているのだこいつらは。
ため息しかでてこない。どっちもどっち。
ダンテとの中を手助けするのは非常に癪だったが、このままではは勘違いしたまま落ち込んでしまいそうだった。
仕方なく、バージルは助け船を出す。
「ダンテ。家の留守番と掃除、に任せていいのか? 不安だったら掃除くらいは俺が…」
「あ? やだよお前が掃除した家なんか。不安なんかあるわけねーだろ」
あからさまに嫌そうな顔。そしてふとダンテは、ころりと嬉しそうな顔に変わった。
「それにが留守番してくれりゃ、帰って来た時おかえりって言ってもらえるじゃねぇか。俺は留守番はに頼む」
「えっそうなの?」
が、嬉しさの混じった顔で驚きの声を上げる。
にっと微笑むダンテに、気持ちが落ち着いたのがわかった。
───何だ…留守番、してていいんだ。
不安が瞬く間に溶ける。
ダンテが帰って来たら絶対「おかえりなさい」と言おう、と決めた。
バージルはそれを確認してほっとする。が寂しい思いをするのが一番嫌だった。
たとえ、それを解決してがダンテの事を更に好きになったとしても。
だからせめてもの腹いせにと、バージルは今度はダンテを睨みつける。
「俺の事なら問題ない。貴様じゃあるまいし、そんな事をしたらどうなるか目に見えている。無駄な戦いと面倒は御免だ」
ダンテは疑惑の眼差しをバージルに向けた。
「…ほんとかよ」
「俺は言った事は曲げない。大体、好かれてもいないのにどうやって奪うのだ」
後半は小声で、に聞こえないように。
それはつまり、がダンテの事を好きだとバージルが認めたと言う事で。
ダンテは少し嬉しくなり、まだ多少不安が残りつつも、と共に留守番を頼む事にした。