第9章 留守番
翌日。
は今度こそ早く起き、手伝おうとするバージルを押しとどめて朝食を作った。
バージルが席に着く間にはダンテの部屋に行き、ドアをノックする。
「朝食できましたよ! 起きてくださーい」
部屋の中で、布団がもぞもぞ動く音がする。しかしぴたりと止むと、再び静寂が訪れた。
───また寝たな…
遠慮なくドアを開けてダンテのベッドに歩み寄ると、ダンテは枕に顔を押し付けてうつ伏せになっていた。
案の定の光景には一度息をつく。
わしっとダンテの布団を掴むと、は思いっきりひっぺがした。
「朝ですってばー! 起きてくださいっ」
ダンテは低くうなって身体を丸めた。
うつ伏せのまま、ちょいちょいと指を動かしている。
「?」
がダンテに顔を近付けると、彼はもそっと顔を動かして眠たそうな目でを見た。
「がキスしてくれたら起きる…」
「なっ…し しません!起きて!」
「じゃあ起きない」
動かした顔をまた元に戻す。
は困って息をついた。時々ダンテはすごく子供っぽい。
下にいるバージルをあんまり待たせたくなかったは、しばらくためらった後、ダンテのサラサラの銀髪をどかし…
頬に軽く唇をつけた。後で「わかんなかったからもっかい」と言われないよう、わかりやすく音も立てて。
───は 恥ずかし!!
すぐ顔を離す。
「…それだけか?」
ダンテのくぐもった声。
それから、ゆっくりと上半身を起こす。
「足りねえよ。もっと…」
そう言っての頬に手を添え、唇を重ねる。
一回、確かめるように軽く触れたあと舌を入れ、絡めた。
くちゅ…と音が立ち、焦る。熱くなる。
「ふ…」
思わず目を閉じる。
ダンテは口を離し、にやっと笑う。
「せめてこれくらいじゃねーと」