第8章 信じる事
「凄い…、ダンテのお父さんって、素晴らしい人じゃないですか」
は感動しながら、Devil May Cryと書かれた家の扉を開けた。
は、先程の男…ライアが悪魔なんて言うから、悪い人なのかと心配していたのだ。
もちろん、悪い人だったとしてもダンテの側を離れる気はないのだが。
しかし実際は、為す術のない人間の味方についた英雄。まさにヒーローだった。
「だからそうだって言ったじゃねえか。親父は英雄だって」
自分の父を誉められ、多少なりとも嬉しそうなダンテ。
その表情は誇りに満ちていて、話す前の緊張は和らいでいて、は思わず笑顔がこぼれた。
「ただいま」
ドアを身体で押し開けて、部屋にいるであろうバージルに向かって声をかけた。
案の定、バージルが部屋のドアから出てくる。
「買い物にしては随分遅かっ…、!」
血まみれのダンテと彼の血がついたが目につき、瞬時に表情が鋭いものに変わった。
すっ と。
調べるように目を細める。
「何があった」
きつくダンテに問う。その声音には、少なからず非難も混じっていた。
ダンテがついていながらの不覚。バージルに説教されそうだ。
ダンテはため息をつく。
「ちょっとな。今話す」
「あっダンテはソファに座っててください! 私救急箱取って来ます」
荷物を置き、とてとて走る。
前にバージルが出しているのを見た事があるので、場所は知っていた。
「はい、服脱いで!」
はダンテのコートをひっぺがす。
いつもならダンテの裸を見て真っ赤になるのに、今は顔が真剣だ。
消毒液と包帯、ガーゼを取り出して手当てを始めた。
ダンテはその間に、さっき起こった全てをバージルに話した。