第8章 信じる事
どのくらいそうしていただろうか。2人にはとても永く感じられる時間が流れ。
やがて気持ちが落ち着いたダンテがを離すと、彼の傷を見たは再び笑顔を凍りつかせた。
「っ 病院! 病院は!?」
「んなもん必要ねえよ。が側にいてくれりゃすぐ治る」
いつもと変わらないダンテの声に、は口を閉じる。
見たところ、辺りには病院らしきところはない。ダンテの血も止まっているようだ。
「それより、悪いな。服汚しちまった」
「気にしないでください、服はまた買えばいいんですから。それより、…」
はためらった後、キッとダンテを見上げた。
「じゃあせめて、家で手当てくらいはさせてください!」
これは譲れない。血も止まり、いくらダンテが平気そうだからといって、怪我は怪我だ。
ダンテは軽く笑うと、の頭に手をぽんと置いた。
「頼むぜ」
「任せてください」
そうとなれば、早く帰るに限る。
は置いてあった荷物を出来る限り持って。
双方心の中に不安を抱えつつも、二人は再び帰路についた。
「あ…あの、……ダンテのお父さんが、悪魔だったんですか?」
歩きながらおそるおそるが切り出す。
「あぁ」
ダンテは少しひやりとした。
他人にこんな事を話すのは初めてだった。
「お父さんの話、聞かせてくれませんか。…知りたいんです」
「…………」
そう言われ、ダンテはゆっくりと話し始めた。
ダンテの父、スパーダの伝説について。