第8章 信じる事
「!!!」
───嘘だろ…!
ダンテは痛む身体を動かす。
嫌だ。行くな。
行かないでくれよ!
「行くな!!」
ざわり
凪いでいた空気が動く。
静止を動かす。
「さようなら」
そう言ってが向かって行ったのは。
身体を向けて、辛そうに歩き出したのは。
赤に紅がまみれた、ダンテの元だった。
はライアに背を向けたまま、まるで宣誓するように叫ぶ。
「私は… 私は、ダンテが悪魔でも人間じゃなくても好きだから。だから、あなたの元へは行きません!」
力が入らず膝立ちしているダンテをかばうようにしてライアに向き直り、は地面に立つ足に力を入れる。
「様…」
「行かない」
「しかし…」
「行かないったら!」
ライアはわずかに哀しそうな表情をすると、意外にも大人しく消えた。
に一礼し、ダンテを睨みつけ。
また現れると予言するように、闇を辺りにばら蒔いて。