第7章 迎え
刃の交わる音がする。
は、見慣れない戦いを目にし、いつしか恐怖で震えていた。
怖い。
テレビなんかで見るような、ニセモノの剣じゃない。
まるで実写の映画を見ているようで現実味のなかったものが、次第に真実味も現実味も帯びてくる。
あれがダンテに当たったら、ダンテは怪我を……
長い間、二人は戦っていた。
しかし実力が二人とも同程度で、決着がつかない。
「…らちがあかない。貴様、なぜ力を解放しないのだ」
ライアが言った。
───こいつ…
気付いている。ダンテの正体に。
「どこでそんな事調べやがった? 他人ん家の事情勝手に調べていいと思ってんのかよ」
「……貴様に話す義理はない。彼女は、私が…もらう」
「なっ…」
一瞬だった。
ダンテが、ほんの一瞬。
動揺した瞬間。
鮮血が飛んだ。
「!! ダンテ!」
叫ぶようなの声。
「…来んじゃね……!!」
力強く、絞り出すように言われ、駆け寄ろうとしたはびくりと止まる。
手加減なんて全く感じられない傷。
血が溢れ出る。
「ダンテっ…!」
駆け寄りたい。なのにダンテに止められ、足もすくんでうまく動かない。
涙がにじんで視界が歪んだ。
その時、ふっと隣に人影が現れた。
ライアだ。
「!! や…っ」
「お静かに。何も致しません」
「…てめえ! から離れろ!」
傷口を押さえ、立ち上がるダンテ。
はたまらずダンテの元へ行こうとしたが、今度はライアの腕に阻まれた。
「おかわいそうに…何も知らないのですね」
憐憫の表情。
悲しそうな。同情しているような。
「どいて!」
「どきません。何も慈悲をくれてやる事はないのですよ。彼は悪魔です」
さらりと言った。
ざらりと伝わる。
一瞬時が止まって、周りの音の何もかもが無くなった。
「……え……?」
悪 魔 ?