第7章 迎え
その人物は、じっとこちらを見て動かなかった。
にはこちらで知っている人間はいないし、ダンテの知り合いだろうか。
「………」
何だろう。
何か、嫌な感じがを襲う。
ちりちりと、じりじりと。
その横でダンテが口を開いた。
「……誰だ。俺との帰り道を妨げるたぁ、覚悟はできてんだろうな」
冷たい声。
ダンテがダンテじゃないみたい。
不安になったは、駆け寄ってダンテの腕を取った。
返すように肩を抱かれ、少し安心する。
ローブの人がバサリとフードを取った。
現れたその容貌に、は目を奪われる。
黒髪だ。黒髪に、不思議な金の瞳。
ダンテとは違う意味で端正な顔。一瞬女の人かと思うような。
黒く長い睫毛に縁取られた黄金が、ダンテとを静かに見ている。
「…ライアと言う。様の迎えに参った」
「寝言は寝て言えよ。はお前なんか知らねぇ」
その通りだ。
は、ライアなんていうカタカナの人は知らない。
ダンテはぎゅっとを抱き寄せた。
それを見て、ただでさえ不機嫌そうなライアと名乗った男の眉根は、更にしかめられる。
「触るな。その御方は貴様ごときが触れていい方ではない。神の娘だぞ」
「俺は神なんざ信じちゃいないんでね。悪いがお帰り願おうか。…俺は気が長い方じゃない、さっさとしねえと首が飛ぶぜ」
ライアは目を細めた。
「それはこちらのセリフだ」
呟くように言ったかと思うと、すっ と男が消え。
次の瞬間、ガキィンと刃の交わる音がする。
───このままだと上手く動けねぇ…。相手は一人か。全くなめられたもんだ。
「」
「は はいっ!」
「下がってろ。こいつは俺がやる」
突然始まった事態にぼうっとしていたは、急いで荷物がある場所に駆けた。
「さあ 存分にやりあおうぜ」
「…いいだろう。相手をしてやる」