第7章 迎え
そう言われたダンテは、しばし葛藤した後にようやく口を離す。名残惜しそうに糸が引いた。
しかし今のにそれを気にする余裕はない。
ただ夢を見るようにぼうっとして、荒い呼吸を繰り返すだけ。
その表情はぞくりと来るほど魅力的で、蠱惑的だった。
───んな誘うような顔してっと、また食っちまうぞ。
ダンテはを見つめて、ぺろりと自分の唇をなめると。
「ごちそうさま」
そう言ってにやりと笑う。
そんな中は次第に頭がはっきりしてきて、さっき何をされたかもはっきりしてきて……
「…………」
ふっと目の焦点が合い、ダンテと視線がぶつかると。
「………っ! ばか!!」
真っ赤になってそう言い、ぐるんと寝返りをうってうつ伏せになった。
ダンテはおかしさを噛み締めて肩を震わせた。
握られた手が震えている。耳まで真っ赤に色づいている。可愛い。
に体重がかからないようにしながら、その上に乗った。
「バカって言うな。…ほら、出かけるんだろ」
「こんな顔で外出れない…ていうか下にも行けません!」
「なら今日はずっとこの部屋にいるか? 俺と二人で」
「……………」
それを聞いたは、がばっと起き上がった。
何かここにいたら身の危険を感じる。
とてつもなく感じる。
「おっと」
ダンテはいきなり起きたにぶつからないよう避けると、よろよろ立ち上がったをおかしそうに見た。
布団の中で頬杖をつきながら言う。
「行くのか?」
「行きます! 今日買わないと困る!」
「でもまだ顔真っ赤だぜ?」
「……っ 誰のせいだと思ってんですか!」
怒ってみせるを笑い、ダンテも起き上がる。
コートを取りに行くすれ違いざま、の頭をなでた。
「メシ食べて、行くぞ」
「はい」
は先に降りていくダンテを見つめる。
ぷくっとふくれたままだったが、撫でられた部分にそっと手を当てると微笑んだ。
ダンテの後を追いかける。
下で、ダンテがバージルに怒られていた。