第6章 眠る前の夢
ダンテは手をのばし、愛しそうにの頬に触れた。
ぬくもりを確かめるように、そっとするりと手を滑らせ。
滑らかな肌。吸い付くような。
は一瞬ぴくりと動いたが、嫌がらずにじっとダンテを見つめている。
指はやがての唇に触れた。
触れてみたが、それだけではやはり足りない。
顔を近づけ、再び口づける。
「おやすみ 」
「……おやすみなさい」
照れたように笑う。
その何もかもが愛しくて仕方ない。このままずっと側にいたい。
その笑顔が自分に向いているだけで、ダンテは幸せになれた。
満ち足りて行く思いと、どこかでまだを渇望する思い。
渇望と欲望をぐっと抑える。
布団を掛け直し、暗くなった部屋を出ようとドアへ歩き出した。
「…あ あの」
ダンテがドアに手をかけた時、の思い出したような声がした。
振り返る。
「何だ?」
「明日、買い物に行っていいですか? 身の回りのものでいろいろ買いたいものがあるんですけど…」
「あぁ。いいぜ。金は俺がやる」
出かけ。一人で?
せっかくだし、一緒に行きたい。道も店の場所もわからないだろう。
案内とデートを兼ねられる。
ダンテは言おうと口を開いた。
が、に先を越された。
「それであの… できれば、でいいんですけど…… その」
仕事があるかもしれないダンテに言いづらいのだろう。口ごもる。
その様子を見て、ダンテの悪戯心に火がついた。
言いたい事はわかっていたが、の口から聞こうと黙ってわからないふりをする。
確か仕事は明日はないはずだ。バージルではなく自分を頼ってくれたのが、何より嬉しい。
「ん?」
「あの…い…いっ一緒に行きたいなと……すいません! 無理だったらいいんです!」
聞けた。案外嬉しい。
というか、すごく嬉しい。