第5章 風呂場の愛
───あ…、シャンプーの香りがする…。あったけえな…
小さい身体だが確かに温かくて、そこにいるとわかる。
───やっぱ、好きだぜ…。
時間を重ねるごとに確かになる気持ち。
ハイスピードで強くなっていく。
「こうされんの、嫌か?」
声は平然としていたが、内心かなり緊張しながらダンテは聞いた。
全くらしくないぜ。いつもラブ・プラネットで女とおしゃべりしてるってのに。
一拍置いて、は答える。
「…嫌じゃないです。あったかくて、気持よくて…私も安心します」
そう言うと、は自分もダンテの背中に腕を回した。それに驚いて目を見開く。
しかしその力は弱くおそるおそるで、ダンテは大丈夫だというように更に強く抱きしめた。
「…あったかい…」
の言葉。
ダンテが上半身裸なのは、気にならなかった。
なめらかに筋肉のついたその身体に、そっと力を込め。
ダンテには嬉しさがあふれる。
───ああ、俺…今、と…
何ていい夢なんだろうか。
小さなの頭が目の前にあって、背中には腕が回され、俺はそんなを優しく抱き締めていて。
ダンテはどうしようもなく幸せだった。
今までのどの時よりも。
の濡れた髪に顔を寄せる。
この小さな身体を、どんな敵からも守りたい。
そのためなら、どんな労力もいとわない。
守っていきたい。笑顔を見ていたい。俺に向けて欲しい。
強い思い。
ダンテは我慢できなかった。
我慢なんて耐えられるか。こんなに近くにがいるのに。
俺は気が短いんだ。
もう止まらない。バージルなんて知るか。
俺はを幸せにして、側にいてその笑顔を見たい。どんな時も。
そう思うと、自然と言葉が出てきた。
「俺…の事が好きだ」
「……え…」
突然言われたはぽかんとした声を出したが、構わず続ける。
「好きだ。初めて会った時から。初めて、瞳を向けられた時から。
半日しか経ってねーが、どうしようもない。時間なんて関係ねえ。ずっとこうしてたくてたまんねぇんだ。
俺の側で笑っていてくれ。俺の側にいてくれよ」