第4章 夕食
「作った事があるのは、ケーキとクッキーとプリンと…クレープと…アイス くらいですかね」
「結構あるんだな。パフェは作った事あるか?」
「ないですけど、多分作れると思いますよ。材料買ってトッピングするだけですから…」
「じゃあ今度作ってくれよ。ストロベリーサンデー、俺の大好物なんだ」
は目を見張ってダンテを振り返る。
その表情が社交辞令ではない事を語っていて、思わず笑みがこぼれた。
頼ってくれるのが嬉しい。私にも出来る事はあると、思わせてくれる。
ここにいてもお荷物なだけではないのだと。
「わかりました。材料買ったら、是非作らせていただきます」
「頼む」
それからダンテは、しばらくを見ていた。
が動くたび、微かにいい香りがする。
───シャンプーの香りか? めちゃくちゃ吹き掛けた香水の香りなんか全然しなくて、何か安心する。
俺に媚びたりもしないしねだってきたりもしない。
楽だな。
一生懸命に作る姿が微笑ましくて、もっと見ていたくて、キッチンの向かいにあるテーブルのいすに座った。
それに気付いたは声をかけてくる。
「暇だったらリビングに戻ってもいいんですよ?」
「いや。ここでが火事起こさねーように見張ってる」
はぷうっとむくれた。
「起こしませんよ!」
思わず吹き出す。本当に怒られた。
不敵笑いはしょっちゅうだが、こんな風におかしくて笑うのは久しぶりだった。
何だろう。
心の奥でずっと眠っていたものがようやく目覚めたような。
妙に気持ちがすっきりしている。
小さな背中がくるくる動き回るのが微笑ましい。見ていて飽きない。
ダンテは手伝うのも忘れてに見入っていた。