第4章 夕食
二人には「美味しい夕食」なんて言ったが、料理はあまり上手い方ではなかった。
「そんなマンガみたいに、ハイできましたー とは行かないよ…」
こんな事ならもっと料理を勉強しておけばよかったと後悔する。
しかし全く作れないわけではないので、とりあえず有り合わせで出来る限り頑張ろうと思った。
「ていうか、何でこんなにピザとトマトジュースが多いの…」
冷蔵庫を開けて目に入ったのは、瓶入りのトマトジュースの集合体だった。その下に5枚くらいピザがまるまる置かれている。
時折野菜やら生クリームやらがチラついているが、その2つが8割を占めていた。
「そりゃあ俺の好物だからさ」
不意に聞こえた声に、ははっと振り返った。
「ダンテ…」
ドアのふちにもたれかかって、ダンテが立っていた。
の方に近付いてくる。
「悪いな。材料あんまりないの、忘れてた」
「ううん、いいんです」
は慌てて首を振った。
今の、見られてたかな。申し訳なさそうにうつむく。
「私も、美味しい夕食作るなんて言ったけど、ごはんはあんまり作った事ないの…ごめんなさい」
「謝るこたねーよ。少なくとも俺よりは上手いハズだ」
気にするな、とダンテは笑う。
当たり前だ。は知らないが、ダンテはほとんど料理はしないのだ。
いつもバージル任せで、このキッチンを使うのはがまだ2人目。
「それにしても意外だな。あんな美味いアイスティー作るから、料理もできるのかと思ったぜ」
「私、ごはんよりお菓子作ってた事の方が多くて…」
するとダンテは目を丸くした。
「菓子作れんのか!」
「う…うん」
「へぇ…俺にしちゃ、飯作るより菓子作る方がよっぽどすげぇと思うけどな」
「そ…そうですか?」
「あぁ。…例えばどんなの作るんだ?」
「そうですねぇ…」
は冷蔵庫を開け、使えそうな食材を探りながら答える。
あ。パプリカ使えそう。