第1章 終わらない帰り道
──…あれ……?
は歩いていてふと、違和感を感じた。
引っかかるような、引っかかったような。
ここはいつも通っている帰り道。でも何かがおかしい。
いつもと同じはずなのに。
それはまるで電柱の貼り紙がはがされたような、家の柵の色が変わったような、そんなさりげない変化。
気付くのに時間がかかる。
違和感を探して視線が泳いで。
「あ…」
───こんなところに道…あったっけ?
が首をめぐらせたそこには、雑草にまぎれて人が一人やっと通れるくらいの道があった。
今まで気づかなかったのが頷けるくらい、道としての存在感がない。
家と家の隙間のような暗さ。
そして向こう側には光が。
誘うような雰囲気に導かれ、は吸い寄せられるように近寄る。
別に理由はなかった。
子供が知らない野原を探検するような、ただ純粋な好奇心と期待とがあって
は迷わずその道を進んだ。