第3章 洋服を買いに
バタンッ!
「ただいま!!」
ドアを蹴破るように開け、の姿を探す。
すると、事務所を掃除していたがぱっと顔を上げた。
二人の姿を見て華が咲くように笑顔になり、机を拭いていた雑巾を放り出して駆けてくる。
「おかえりなさい!」
その笑顔に涙は見られない。
二人はほっとして、息をついた。
「いい子にしてたか?」
「もちろんです! 待ってる間、掃除してたんですよ。あ、どうぞソファで休んでください。今飲み物用意しますね」
嬉しさを隠し切れない様子でそう言うと、ダンテの手から荷物を取って脇に置き、キッチンへぱたぱたと走っていく。
───キッチンの場所、わかったのか…
どうやら自分達がいないうちに、はあちこち探検したらしい。
息を切らせていた二人は安心するやら拍子抜けするやら感心するやらで、に言われた通りソファに座った。
少しして、お盆に飲み物を3つ乗せたが出てくる。
「お疲れさまでした。私の為に…ありがとうございます」
が入れてくれたのはアイスティーだった。
ダンテとバージルは走ってのどが渇いていたため、すぐにそれに口を付ける。
「うまい…」
紅茶の苦さと砂糖の甘さがちょうどいい。甘いのが苦手なバージルですら一気に飲み干していた。
「ありがとうございます」
は照れくさそうに言うと、自分も口をつける。
ダンテはの顔をさりげなく見てみた。隠しているようだが、わずかに泣いたあとがある。
それに心が痛んだが、それと同時に大丈夫そうな表情にほっとした。