第3章 洋服を買いに
事務所に一人残ったは、手持ち無沙汰にソファに座っていた。
さっきまで賑やかだった為に考える暇がなかったが、一人の今は色々な事を考える。
今…何時かな。時計ないからわからないけど、夕方くらい?
出口も見たらなくなっちゃってたし、もう戻れないのかな…戻れなかったらどうしよう。捜索されちゃうよね。
お父さんとお母さん、心配するだろうな。
あと、友達も…せっかく仲良くなったのに。
…あ そうだ。課題、溜まってたんだった。やらなきゃ。
…って、やっても意味なくない? 戻れないんだから……
ぽた、と雫が落ちた。
「あれ…」
泣いてる? 私…
まばたきをするたびに、涙がこぼれ落ちる。
「おかしいな。止まんな…っ」
ぽたぽた ぽた
とめどなく流れる涙。どうしよう止まらない。
まあ、今なら誰もいないし少しくらい…
「………っ」
静かに泣き崩れた。
何で、とか何に、とかはわからなかった。
ただ不安で、怖くて。
心配させてしまう罪悪感と、まだやりたい事いっぱいあったのにという後悔が、のどの奥で渦巻いていた。
あまりに激しいその感情に、あっちの世界で幸せだったんだなあ、と実感する。