第3章 洋服を買いに
「貴様何をしている。斬るぞ」
何ともドスの効いたバージルの声が聞こえ、が離された。
「が困っているではないか。変態が」
「んだと?」
ビリっと震える二人の雰囲気。は慌てて言った。
「い いいのいいの!大丈夫です! だから怒らないで、バージルさん」
バージルがぐっと詰まる。もちろん、の言った事にではない。その姿にだ。
喧嘩はさせたくないと思うのか、話を逸らそうとするは、今度はダンテを振り返った。
「ダンテさんもありがとう。あったかくて、ちょっと安心しました。」
「そりゃよかった」
微笑むダンテ。
「んじゃ、がさん付けで呼ぶのやめてくれたら、言い争いやめるぜ」
不意に言い出された交換条件に、は瞬いた。
しかしやがて嬉しそうに顔がほころぶ。
「はい! わかりました」
「よし、いい子だ」
ダンテはにっと笑うと、バージルに言った。
「おいバージル。いつまでの腕掴んでやがる。行くぞ」
「行ってらっしゃい!宜しくお願いします」
「任せろ。とびっきりかわいいの、買ってきてやるぜ」
ダンテがにウインクする。
バージルも、微かに微笑みを浮かべての頭に手を置いた。
「行ってくる」
「はい! 気をつけてくださいね」
出ていく二人を、は笑顔で見送った。
……あぁ、びっくりした。いきなり触ってくるんだもん。
閉まった扉から目を離して、はほっと息をつく。
正直、一人になれる時間は少し有難くもあった。彼らと一緒だと心臓が長くもたない。
すぐ間近まで寄ったダンテはとても格好良くて、同時に美しくもあった。そんな二人とこれから生活していくだなんて、夢でも見ているみたいだ。
抱き寄せられた腰が、引かれた腕が、まだ温かい。