第23章 帰依
持ち主の思い?
空間を脱出したいという願い?
それは裏返せば、「ここにいたくない」という意味。
いたくないと思わせてしまったのか。
この現状の中で。の事だ、自分のした事に後悔して。
いたくないと。いない方がよかったと。
───はッ 情けねぇ…
自嘲。
がやってきた日に。帰りたくないと思わせてやる、と自分に偉そうにほざいたのは誰だ。
他でもない自分。
それがこんな事になって。
胎動は止められない。は消えてしまう。
一人で生きていけというのか。
突き放すのか。
突き放させてしまったのか。
罪悪感。少しずつ出される水道の水のように、次第に浸っていく。
根本から黒く。
根源から強く。
悪いな、。俺はいつでも肝心な時にお前を助けられねぇ。
いつだって俺は救われる方で。
いつだってお前は救ってくれた。
だけど。
だからといって。
勝手なのはわかっているけれど。それでも自分の気持ちを正直に言うのならば。
冗談じゃねぇぞ。
に言いたい事はたくさんあった。してやりたい事もたくさんある。
「好き」だって言い足りてないしキスはもっとし足りない。
守ってやれていないのだ。
「何か方法はねぇのか」
「胎動が始まれば止められない」
「空間を脱出するのだろう? 戻ってくる方法もあるのではないか」
バージルの、らしくない強引な意見。
だが、ライアは首を振った。
「戻る方法はない。だが…」
「なんだ」
「発動の瞬間石は半径5メートルの円をつくるという。その中に入れば、もしかしたら…」
ダンテ達が、の世界に。