第22章 後悔
「ダンテ…ダンテ、やめて…っ」
「悪ぃな。だけどこれだけは譲れねぇ」
支えの剣を引き摺る。
あり得ない動き。ダンテの顔は真っ青。真っ直ぐ立てていない。
今にも倒れそう。
「やめて! やめてダン…っ」
不意に後ろから引かれた。見るとバージルが身体を起こしている。
「見たくないのなら見るな」
「ちがう ちがうっ…」
視界が歪む。ぼんやりと膜を張ったよう。
見たくないんじゃない。傷つけないで欲しい。
ダンテを。ライアを。
傷つけないで…
前に行きたいのに力が入らない。
バージルが無理して私を抑えてる。涙が溢れた。
なんで。
なんで。
戻れると思ったのに。
どうして。
「……っぶね…」
ダンテがふらりと傾いだ。倒れそうになる身体を剣で支えるが、剣を持つ手にさえ力が入らない。
懸命にこらえる。
その姿を、ライアはじっと見つめていた。
動かずに。
はすぐにわかった。ライアは抵抗しない気だと。
自分でした事をわかっているから、抵抗する権利なんてないと思っているのだろう。
でもだからといって、こんな事態を許すわけには。
ダンテの荒い息が聞こえる。短く浅い。
しかしその瞳は強く。
強く強く、ライアを睨んでいた。