第21章 手招き
謝られたダンテは逆に変な気持ちだった。
普段対抗意識全開だっただけに、違和感をぬぐいきれない。返す言葉に詰まってしまう。
そのままライアを見ていたダンテは、ふと気付いた。
───何か体型変わってないか?
もともと細い身体が、何だか更に細くなっているような気がする。気のせいだろうか。
服はぶかぶかと言っていいほど緩くなって、その割には胸は膨らみを持っていて…
顔つきもほっそりとしたような。
「………待て」
うつむいたライアも気付く。眉根を寄せて身体を見つめる。
「…あれ?」
も気づいた。見間違いだろうかと瞬くが、変わらない。
胸はやや大きく張り出して。ウエストはくびれ。足は長く。
ライアは恐る恐る胸に手を伸ばした。震えているのは気のせいではないだろう。
手で触るには恐ろしい。
指先で少しだけ。
力を込めて押すと。
「……!!」
柔らかな感触にライアは失神しそうになった。
「貴様! これはどういう事だ! 女の体型になっているではないか!」
声を荒げずにはいられない。生きていると思ったらこれだ。
ショックが大きすぎてまるで何かに裏切られたような気分。
ぽかんとライアを見ていたダンテは、非難するような視線を振り払うように手を振った。
「ちょっ…落ち着け! 説明すっから! ……バージルお願い」
「何故俺だ」
「だってバージルの方がよく知ってんじゃん」
「…ただ力が足りなかっただけだろう」
バージルは淡々と言った。
「一度死んで零になったものを戻すのだ。顔つき、性格、記憶…全てをひとつずつ戻さなければならない。
純粋な悪魔の血なら完璧に戻っただろうが…半分では無理だったのだろうな」
「二人分でもかよ!?」
「二人分でもだ」
ダンテは何だか微妙な心境だった。
上手くやり遂げたようなやり遂げなかったような、中途半端な気持ち。
どこかすっきりしない。
そしてそれ以上に、戸惑っていた。