第21章 手招き
ライアの手が動いた。
名前、今呼んだ?
呼んでくれた?
にわかに信じられなくて、戸惑ったようにそのまま見つめていると。
「様…」
指先が頬に。
温かい。
温度は生きている証。
ライアがちゃんと生きている証。
うつむいた。
「ライア…っ」
「様…申し訳ありません」
すまなそうな顔。いつも見ていた表情。
優しい顔だ。
生きている。
「ライア、目覚めたのか?」
声しか聞こえない事にたまりかねて、ダンテが言った。
は慌てて返事をする。
「ダンテ! 覚めた…覚めたよ! ちゃんと、…生きて…」
言っているうちにぼやける視界。
何て幸せなんだろう。あの絶望が嘘のようだ。
皆生きている。皆無事。
「…そうか」
ダンテは今度こそほっとした。かなり危ない賭けだったが、ライアは持ちこたえてくれたのだ。
の嬉しそうな声に笑顔がもれる。
よかった。