第21章 手招き
まるでそれを待っていたかのように。
離れたのを寂しがるように。
誕生。覚醒。生誕。発覚。
長い眠りから覚めて
暗い闇から抜け出し
光を求めて請い焦がれるように
漆黒の長い睫が震えた。
「!」
見間違い? 逸らしかけた顔を再びライアに向ける。
その時にはもう。
まるでずっと目を覚ましていたとでも言うように
眠気に今にも目を閉じようとするように
黒に縁取られ、金色の瞳が覗いていた。
「………」
呆気に取られる。
透き通る金色に魅入られたように、ただ見つめる。
「…ライ…ア…」
「?」
ダンテの声がして、背を叩かれたようにはっとした。
ライアの瞳は定まらないまま。揺れて、空を薄く見つめている。
は再び膝をついた。
まるでこのままどこかに行ってしまいそうだ。
連れていかれてしまいそうだ。
「ライア…ライア、しっかりして!」
戻ってきて。
どこにいるの。
どこを見ているの。
ダンテとバージルはもどかしさと安堵が混じる。
どうやらライアが目覚めたようだと思いながらも、の発言に不安がよぎる。
まだしっかりと目覚めていないのか。
「ライア…!」
は髪に触れた。
女の髪かと思うくらいしなやかな髪。
ライアはそれに少し反応して、ふっと顔を覗き込むに目を向け。
唇が僅かに開いた。
「…だ れ…だ」
「え……」
どすん、と。
殴られたような。
頭の中が白く。
目の前は黒く。
何を
言って
いるの
目を見張り固まる。ライアは感情が失せたような顔をしていて。
それが無性に悲しくて。
するとやがて、金色の瞳は驚いたような色を。
「………っ」
震える。
顔が歪む。
唇が開き、声を紡ぐ。
「……さ……」