第3章 洋服を買いに
「あ……あの…」
不意にドアが開き、が顔を出した。
ダンテが視線をはずして振り向きながら、口を開く。
「おー。どうだ? やっぱり大きいだ…」
ダンテの言葉は、の格好を見て途切れた。
「はい。あんまり大きかったから、下はかなくてもいいかなって」
は、ダンテに渡された黒いシャツを着ていた。
しかしそれはにはあまりにも大きく、半袖が5分袖程度で二の腕をすっぽり覆っている。
長さも元々長いシャツだったので、裾はの太ももにまで達していた。
それではズボンも大きいだろう。そう考えたはズボンをはくのをやめ、生足丸出しで出てきたのだった。
ダンテとバージルはしばらく声が出なかった。呆然とを見つめていた。
───反則だぜ、。
バージルがいなければいろいろと我慢出来ずにいるところだ。膝の上に乗せたり、抱きしめたり、撫でたり触ったりと走馬灯のように妄想が広がる。
彼も似たような事を思っているだろう。
「あの…?」
は黙って見つめてくる二人を不思議に思い、首をわずかに傾げた。見られていることに恥ずかしそうにシャツの裾を握る。
その行為すら、二人を煽っているのだとは知らずに。
艶やかな黒い髪。
見つめると吸い込まれそうな黒い瞳。
細い腕。
細い足。
どこも自分より小さくて。
───ああもう!!!
限界。
ダンテは耐えきれずに勢いをつけてから顔を背け、バージルを見た。
彼も我慢できなかったようで、本を掴む手に力が入り筋が立っている。
「バージル。服買いに行こうぜ。今すぐに」
「そうだな。すぐに出よう」
ぱたん、とバージルが本を閉じ、二人は立ち上がった。