第3章 洋服を買いに
バージルが救急箱を引き出しの中にしまっていると、ドアが開いてダンテがひょっと顔を出した。
「おう。とりあえず服は出したんだけどよ…」
に歩み寄って来る。持ってきた服を広げてみせた。
「…お前にゃ大きいよな?」
の身長は160もない。女の中でも小さい方だ。
そんな彼女に、ダンテの服はとても大きかった。
「んー……とりあえず、着てみます」
ダンテから服を受け取り、
「あっちの部屋、使ってもいいですか?」
ダンテが出てきたドアを指差す。
「もちろんいいぜ」
ダンテが頷くのを見ると、にっこり笑って「ありがとうございます」と言い、ドアを開けた。
何となくもう一度振り返ったは自分を見ているダンテと目が合った。
じっと見てくるダンテを安心させるように微笑むと、ドアの向こうに消える。
「…やっぱかわいい…」
が消えたドアを見つめつつ、呟くダンテ。脳裏にはの笑顔がちらついている。
「俺、狙おうかな」
「………」
バージルは無言。途中だった本をまた開く。
ダンテもしばらく黙っていたが、ソファにもたれて天井を見ながら言った。
「俺後で、と一緒に服買ってくる」
「……俺が行く」
バージルが本から目を上げずに言った。
「やだね。俺が行く。を助けたのは俺なんだぜ。俺が世話するのが妥当だろうが」
「しかし貴様には仕事があるだろう。今日もこの後入っているはずだ。俺が行く」
ダンテは天井に顔を向けながら、ちらりとバージルを見た。
「後でもいい仕事だ。先にの服を買う」
「悪魔退治は早めにやった方がよかろう。」
「じゃあさっさとやって一緒に買いに行く。」
バージルは本から視線を上げた。
睨み合う二人。静かな沈黙が訪れる。