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【DMC】RED

第20章 藍空



「っ!」

呼ぶ声。
それを境に、突然爆発的に音が戻って来る。

後ろからぶつかるように抱き締めて、目を覆ってくれる温かい手。
温かいのに。
温かいのに。
今はなぜか、冷たく感じる。

「畜生…っ何でこんな事になってんだよ!」

動揺したダンテの声。
バージルは声も出せなくて、半ば呆然とライアの身体を見つめていて。

助からないと
いなくなってしまったと
確信。

血はもう大分出尽くしてしまったようで、勢いは緩くなっていた。



はダンテにすがりつきしがみつく。
がちがちと歯が鳴る。

生きている身体に触れたかった。
なぜだか自分が一人ぼっちのような気分になって、無性に寂しかった。

寒い。
凍えそうに寒い。
脳裏にはまだ赤と黒。
怖くなる。


ダンテはバージルを見た。
わけがわからないにも程がある。
今まで生きてきた中で、こんなに動揺して狼狽して困惑したのは初めてだ。

それはバージルも同じようで、驚きを隠せない目でダンテを見返してきて。
首を横に振る。

「……っ畜生…!」

を悲しませるなんて最悪だ。
最悪最低下劣愚者小心者極まりない。
ふざけんな。くだらねえ。
何があったかは知らねーが、を少しでも好きなら、悲しませるような真似だけはすんじゃねぇよ!

冗談じゃない。
が、涙も出ないくらいショックを受けてるってのに…アンタはに言うだけ言っておさらばか。

ダンテはギッとライアの身体を睨むと、をバージルに押し付けた。
バージルは戸惑いを抑えつけ、彼女をなだめようと抱きしめる。

闇色魔術師の前に。
血で濡れるのも構わず、ダンテは膝をついた。

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