第19章 闇
走って。
走って。
必死には足を動かした。
───わかる。
目を細めて周りに視線を走らせる。
ライアがどこにいるのかわかる。どこへ向かったのかがはっきりとわかる。
どの道を行けばいいのかも。
残り香のような。
残存する残像のような。
道しるべのような。
どういうものかははっきりわからないが、本能的に感じる違和感。
それをひたすら追う。
走って
走って
息が続かなくて少し歩き、また走る。
肺が悲鳴を上げ、喉が熱くなり、は顔をしかめた。
こんな事なら、普段からもっと運動しておけばよかった。
これくらいで息が切れるなんて情けない。
それでもただただ足を進め、は駆けた。
対するダンテとバージルは、外に出たはいいものの戸惑っていた。
がどこに行ったのか全くわからない。彼女は何も言わなかったのだ。
どこを見渡しても彼女の姿はない。ごちゃごちゃとした町並みが仇となったのか、すぐに居場所がわからなくなる。
ダンテに舌打ちが漏れた。
ちゃんと場所を聞いていればよかった、と心底思う。
いや、自身ライアの居場所はわからなかったかもしれない。しかしそれにしたってライアとは一番最後に話したのだ。何らかの手掛かりはあってもいい。
それも言わなかったとなると、言う暇もない程の事なのだろうか。
不安になりながらも仕方なく手分けして聞き込み、向かった先を探っていった。