第18章 3メートル
「…………」
ライアは呆気に取られて何も言えないようだった。
何か言うかと少し待ってみたがこちらを見つめるばかりだったので、は続けて言う。
「会った時から何か足りない感じがしてた。それが今はもっと強い。特に最近はすごく。…何が足りないの?」
「………」
「答えて。誰にも言わないから」
「………」
いつもと違う強気な彼女に、感心を覚えつつも苦々しさを感じる。
放っておいてくれたらよかったのに。そうしたら何も変わらなかったのに。
しかし、そこで放っておいたのでは私の好きなではないと、思い直した。
「…貴女には、敵いませんね」
ため息とともに吐き出される、諦めたような声。
ライアはから視線を外して床を見る。
少し間を置いてから、決心したように言った。
「足りないのではありません。恐らく、常人にはない余分なものがあるからでしょう」
「余分な…?」
「はい」
いまいちよくわからない。は首をひねった。
「私の魔力の源がどこにあるのかお分かりですか?」
「…ううん。でも、生まれつきなら体の中なんじゃないの?」
「いいえ、実はそうではありません。もしそうなら身体の中に化け物を飼っているようなもの。脆い身体はすぐに壊れる」
「じゃあ…どこにあるの? 何か魔力を秘めた石とか指輪とか、あるの?」
そう問うと、ライアは寂しそうに微笑んだ。