第18章 3メートル
はそれに少し笑い、ライアを見た。
彼も視線に気付くといつものように穏やかに微笑む。
「私も手伝いますから。心配しないでください」
「うん…ありがと」
話したいのはその事じゃないのに。
ライアはの気持ちをわかっていながら話して来ない。
は気づいていた。ライアの視線が珍しく揺れている。
「…………」
じっとライアを見つめる。
話さないなんて駄目。
そんなにからっぽな笑顔なのに、何もないなんて事ないでしょう?
それでもライアはそれに気付かないふりをして、部屋を出て行こうとした。
「…では、また後で様子を見に…」
「ライア」
たまりかねて呼ぶ。
ライアは立ち止まってしばし考え込むと、やがて諦めたようにを見た。
その顔には、これもまた珍しく苦笑。
「わかりました」
それだけ言って、その場にとどまった。
「………?」
バージルはそれに不思議そうな顔をしたが、二人の問題だと判断したのか、何も言わなかった。
に無理をさせてくれるな、という風にライアを一瞬睨むように見つめた後、部屋を出ていく。
あとにはとライアだけが残り、静かな静寂が落ちた。