第18章 3メートル
駆け寄る。
自分でもおかしいくらい必死にの傍へ行き、その身体に触れてみて。
熱い。
「…、しっかりしろ!」
バージルが肩を揺すって呼んでもは反応しなかった。
ただぐったりと身体の力を抜いて、熱い息を吐いているだけだ。
ライアはそれを、まるで雷に打たれたように呆然と見ていた。
怯えたようにあとずさる。
の顔から目が離せない。
逃げたい。逃れようのない現実から。
始まってしまった。
始まらないで欲しかったのに。
返事を返さないにバージルが慌てて身体を抱え上げる。
数回呼ぶと、ようやく睫毛が震えて瞳が薄く開いた。
夢を見るようにぼうっと正面を見た後、ふっと目が覚めたようでバージルを見る。
彼とライアを見比べてこの状況がわかったのか、少し苦笑して言った。
「…おはよ」
バージルはその声に心底安心し、いつの間にか止めていた息を吐いた。
「おはよ、ではない。心臓が止まったぞ…」
「ごめん…。起きようとしたら、ちょっとくらっときちゃって」
「なぜ起きようとした。無理はするなと昨日言ったはずだ」
はう、と言葉に詰まった。
バージルが怒ってる。こんな綺麗な顔に至近距離で怒られると、迫力あるなあ…。
思いながら、力のない苦笑に似た笑みを返した。
朝食を手伝いに行こうとしたなんて言ったらまた怒られそうだ。