第17章 熱
「おはよ、ダンテ」
「おう。話聞こえたぜ。風邪ひいたのか?」
少しからかうような表情。
はそうだという風に苦笑をした。
「て事はも馬鹿じゃねえって事だな」
「みたいね」
「安心したぜ」
軽く冗談を飛ばしてから、かがみこんでに視線を合わせる。
その顔は、先程とはうって変わって心配そうだった。
「悪い。昨日雨の中出歩いたせいだな」
「そんな事ないよ。前から少し風邪気味だったし、気にしないで」
それに、昨日出歩いたのは私のお節介だからと。そう言って微笑んだに、ダンテは鼓動が高鳴るのを感じる。
些細な優しさと気遣いがじわりと温かく広がる。
少し指先での首に触れると、やはり熱を帯びていた。
熱いのか服のボタンは大きくはずされ、そこから滑らかな白い肌が見える。
心なしか汗ばんでしっとりとしているようだ。
無意識のうちに、ごくりとダンテの喉が鳴った。
そして、が唇を開き。
「ダンテ」
「…ん?」
「ありがと」
照れたようにそう言うと同時に、ダンテの表情がすっと真顔になった。
の身体の向こうに片手をつく。
上半身だけ、に覆いかぶさる。
重みが増えた事でベッドはギシリと軋み、はその音に不思議そうな顔をしてダンテを見つめた。
「何?」
「………」
無言で、はだけられた首と鎖骨に唇を当てる。
抵抗がないのをいい事に舌まで這わせると、ダンテの髪にの小さな手が触れた。
まるでこれからするのを許すような行為に驚いてダンテが顔を上げると、はまだ不思議そうな顔をしていて。
「どうしたの?」
微笑み、吐息混じりに言い。
ダンテはその唇を見つめる。