第17章 熱
───俺にとっちゃお前が「どうしたの」だ。
嫌がりもしねえわ髪に触れてくるわ息は熱いわ頬は紅いわ唇はしっとりしてるわ…
戸惑いなく唇に顔を寄せると、やはり嫌がりもしない。
彼女の胸に自分の身体を押し当てながら、ダンテは唇を重ねた。
「んぅ…」
数回角度を変えて唇に吸い付くとゆるく開いている口内に舌をねじこむ。
中を掻き回せば、からくぐもった声と酸素を求める荒い息が聞こえた。
「やぅ…ダンテ…」
合間でかろうじて息継ぎをする。しかしそれさえも許さず、背けられる顔を追い唇を貪る。
その吐息とダンテの胸に感じるの柔らかさに、ただただ欲望が駆り立てられ止まらなくなっていた。
───やべ…
「やだ、ダンテ…っ!は……あつい…」
ダンテは唇を離すとすぐに首筋に顔を埋める。
ざらりとした感触ににぞくりと悪寒が走った。その舌の熱さにいやいやと首を振るが、止まらない動きに翻弄されていく。
濡れた首筋が空気に晒されて冷えた。
同時に、唐突に眠気に襲われる。
人肌の暖かさに瞼が重くなり、は目を閉じた。
ぼんやりとした頭では何も考えるのも億劫。
その間にもの服ははがされ、舐められているというのに。
時折聞こえる水音が子守唄にしか聞こえてこなくなる。
「 寝るな…」
声が遠い。駄目、起きてなきゃ。
何されるかわからない。
はとりあえず、手近にあったダンテの頭を優しく抱き締めた。
それに反応してか、額にかかる前髪をのけ、頬に当てられるダンテの手。
あたたかい。
ふと、ダンテが動いた。
顔を覗き込んでいるのだろうか。
ぺちぺちと頬を叩かれる。
名を呼ばれる。
しかしは急激に眠りへ落ちて行き、それに応えを返す前に眠ってしまった。
「…何でここで寝んだよ…」
後に残されたダンテが不機嫌になったのは言うまでもない。
寝込みを襲うような真似はさすがのダンテもできず、すうすうと寝息を立てるをしばらくの間見つめていた。