第17章 熱
───何だろう…
はベッドに向かいながら考えた。
ライアが話さないなら、大した事はないのだろうか。
違和感はほんの一瞬だったし、ライアはいつものように笑っていた。
でも、だからこそ。
笑顔でいるからこそ、彼は。
大事な事も一人で抱える気がする。
ため息をついて、は布団にもぐりこんだ。
顔まで布団を引っ張る。
知っている気がする。
ライアが隠すものそれ自体はわからなくても、それに繋がる、関わりのある事を何か。
自分は知っている気がする。
───どこ? 何で知ってるの? いつだっけ、感じたのは。
記憶を辿る。さかのぼる。彼との付き合いは長くないのだ。すぐに辿り着くだろう。
ライアと住み始めた頃。ライアとダンテが闘った頃。彼に恐怖し、ダンテに助けられる。
飛んで、ライアと出会った頃。
───あ…
そうだ。会った時だ。
は確信した。
会った時ライアはフードを深くかぶっていて、顔は全く見えなかった。
しかしはすぐに感じた。わずかなかすかな違和感。
言葉が出なくて、ただその違和感に妙に気を取られて。
何かを削るような、削られるような感覚。
ダンテが傷を負ってからそれどころではなかったが。
───ライアが魔術師だからかな…
ダンテやバージルとは全く違う力と術を使うからだろうか。
気になるのは思い過ごし?
やっぱり、起きたらまた聞いてみよう。
そう思った時。
ガチャリと部屋のドアが開いた。
「……!」
驚くが、警戒はしない。
女であるの部屋にこうも堂々と入ってくるのは一人しかいなかった。
バージルと同じ銀髪にアイスブルーの瞳。
ただ、身にまとうのは青と正反対の赤。