第16章 冷雨
「……あーあ。降ってきちゃった」
は、薬屋の外で空を見上げていた。
朝から曇っていたので降りそうだとは思っていたが、こんなに早く降るとは思わなかった。
通り雨だといいのだが、そうでもなさそうだ。
「どうしよう…」
待つか、走って帰るか。
雨足が弱まるのを期待して、待ってから走ろうか。
そういえばダンテはもう起きたのかな。
そう思い時間を確認すると、まだ彼が起きるような時間ではなかった。
は息をつく。傘くらい大人しく持って来ればよかった。
壁にもたれかかり買った薬を濡れないように抱え、少し待つ事にした。
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ダンテは辺りを見回しながら走っていた。
の姿を探すが、見つからない。やはり雨宿りをしているのだろうか。
荒く吐いた息は白く、すぐには空気に溶けずそれが寒さを物語る。
身を切るような寒さに心が急く。
こんな中傘もなく雨宿りしているのかと思うとたまらない。
早くに触れたかった。