第15章 酒が見せる夢
「───!!!」
バージルは目を見開いて口を押さえた。
瞬く間に冷える唇。
信じられない。が。
が、その艶やかに紅い舌で。
が。
から。
から、口付けと言っても過言ではないそれが。
今まで我慢してきたもの。
触れようとして触れられなかったしがらみの鎖。
理性。自我。抑制。
それが、たったこれだけで晴れるように取り払われていくのを感じた。
至極簡単に、それはもうなめらかに。
「…っ」
何かが弾けた。
何かが切れた。
何かが壊れて、本能が剥き出しになる。
これも酒のせいか。
バージルは夢中での顔を引き寄せ、口付けていた。
「んっ……ふ…っ」
抵抗する気がないのかしても無駄だと思っているのか、驚いてされるがままになっているの口内を侵していく。
舐め上げていく。
「貴様…っ」
ライアの怒りに震えた声。
呆然としていたもののすくに我に返り、バージルにつかみかかる。
それすら遠く聞こえる。
駄目だ。
こんな事をしたら、に嫌われる。
が傷つき、ダンテが傷つく。
そんな事、自分は望んでいないはず。
望むのはただただの笑顔で。彼女の幸せのはずなのに。
しかしその反面、それが何だと言う自分がいるのも確か。
何よりも、今まで抑えていた反動で、自分が止められない。
気持ちは駄目だと思いつつ、本能はやめない。
抵抗する気のない抵抗が身を包み浸していく。
必死だった。
必死に、まるで餓えた獣のように、品性の欠片もなく喰らいついて舌を絡めて離さない。
水音に鳥肌が立つ。
との思いもよらなかった口付けに心が騒ぐ。
理性が崩れていく。普段であれば許せないような考えが浮かぶ。
今まで我慢してきたのだ。これくらい、したって罰は…