第15章 酒が見せる夢
手をそっとずらし、移動させる。
慈しみを込めて、撫でる。
柔らかい唇に、触れる。
微かに感じる息遣い。
生きている証。
存在の証明。
ライアの身体が熱くなった。
我慢できない。我慢しなければ。
ああ、もう。
この世は我慢ばかりだなと、誰にともなく愚痴り。
の口に、少しだけ少しだけ指を差し込む。
すると無意識だろうか。の舌が、少しだけライアの指先を舐めた。
「………っ」
その瞬間ふっと頭の中が白くなり、理性が飛び。
舌が触れた。
それだけで身体中にしびれが走り。
たまらなくなって、ライアはに顔を寄せた。
が。
「」
触れ合う直前、まるでタイミングを見計らっていたかのようにバージルがの顔を背けさせる。
「ん…」
が今度はバージルを見つめる。
身体を離され、ライアの指から口を離す。
温もりが途切れた指。冷えて体温が奪われ、ぎゅっと握り締める。
ライアはバージルを睨みつけたが、バージルは動じない。
当たり前だ。
ライアなんかにを渡すわけにはいかないのだ。
そう簡単に渡すわけには。
「……あ…」
不意に、がバージルを見てわずかに口を開いた。
「何だ」
じっと見つめてくる瞳にがんじがらめにされる。
心臓を操られているのだろうか。鼓動は身体を内から叩き、バージルは見つめ返しながら問う。
するとはおもむろに顔を寄せ。
細い指先で、ぞくりとするほど絶妙に遠慮がちにするりとバージルの唇に触れ。
彼が驚いて身をわずかに引いたのも構わず、舌でその唇を舐めた。
ほんの一瞬だけ。
背筋から這い上がるような感覚を覚え、触れたと思うと離れて。
は身体を離し、にこっと笑う。
「クリーム。ついてた」