第15章 酒が見せる夢
の笑顔に見惚れていると、二人はそこではっとした。
これはに近づくチャンスなのではないだろうか。
ダンテは寝ている。
あの様子だとしばらくは起きそうにない。
加えてが酔っているのだ。
不意打ちをするようで少し気が引けたが、この機会は惜しい。
「…………」
二人はを挟み、両隣に座った。
「? どうしたのぉ?」
の間のびした声。
「いや?」
バージルはすぐ隣にを感じながら、顔が嬉しさでゆるむのを懸命に抑えこんだ。
身体をさりげなくくっつける。
触れ合う肌。自分よりも幾分温度の高い暖かさに、
心臓が騒ぎ始めた。
「う…頭ふらふらしてきた…」
そう言うと、はバージルの肩にぽてっと頭を乗せる。
「……っ!」
肩に熱い息。
の息。
狙っているのだろうか。無意識だとしたらこれはもはや拷問だ。
「大丈夫ですか…?」
不意に、やけに優しく甘い声でライアが言った。
の肩にゆったりと触れ、顔を寄せて覗き込む。
その様子はいつもと同じようでいて。違うようでもあり。
わざとなのか。
それともライアも酔っているのか。
どちらでもいい。
何にしても、この機会を見逃すわけにはいかない。
「んぇ…大丈夫…」
「顔が赤いですよ」
「そんな事ないもん…」
ライアの方に、とろんとした目を向ける。
眠気があるのか目をこする。
ライアはそれに魅入られたように縛られたように何も考えられなくなり。
それが義務のように当然のように、の頬に手をのばした。
「…あったかい…」
頬に触れるライアの手を、上から包みこんでうっとりと目を閉じる。
貴女の方が温かいですよ。
暖かい。
優しく氷を溶かしてくれる存在。
「───…」
ライアに欲が走る。
言葉をつむぐ唇に触れたい。
その温かさを自分だけのものにしたい。