第15章 酒が見せる夢
───あ…やべ……
思った時にはもう遅かった。
瞼の重さに耐えきれない。まずいと思いつつも、一瞬瞬きをする間に瞳は開かなくなり。
ソファにどさりと横になる。
突然倒れたダンテに、は驚いて腰を浮かせた。
「え…っ どうしたのダンテ!」
慌てて顔を覗き込む。作ったケーキが何かまずかったのか。
しかし規則正しい呼吸にダンテは寝ているのだと気付き。それと同時にバージルが口を開いた。
「酒だな」
ダンテの飲み干されたコップ。何も言わなかったが、いつもより随分と酒を注ぐペースが早かった。
自業自得だと放っておく。
「気にするな。すぐ起きる」
「えっ…これお酒なの? 飲んじゃったよ…」
がコップを見つめた。
そこには少しだけ残された液体。随分飲んだはずだ。
ダンテが眠るほど強いのかと不安になる。
───あぁ、だからさっきから頭がガンガンしてるのか。
浮かれてて気にしなかったが、足元がふらふらしている。
しかしこの強い味は、癖になる味だった。
余韻が消えないうちに次を求めるような気持ち。
さほど間隔を開けないうちに、は次々コップを煽る。
「そんなに飲んで大丈夫なのか?」
少しからかい気味に言うバージル。彼女はそれほど酒には強くなさそうに見えたが、そうでもないらしい。
しかし次第に雰囲気が変わっていくに、ライアも心配そうに言った。
「そうですよ。あまり飲むと、お身体に障ります」
「だぁいじょうぶ! おいしいよ?」
ダメだ。
2人は確信した。
の様子が変わる。
ずっとにこにこして、酒を煽り続けている。
「ライアー。ケーキおいし?」
「あ はい。すごくおいしいです」
「ふふ。 嬉しい」
にこぉっと笑う。
ほのかに紅を帯びる頬に酒で濡れた唇。
ライアの動きが止まる。
「バージルも…おいし?」
喜んでもらえるのが嬉しくて、何度でも聞きたくなるらしい。今度はバージルに顔を傾け、首を傾げて尋ねる。
「あぁ」
それを聞いてまた笑顔になる。
「よかったぁ! ありがとう」
バージルの動きも止まる。