第15章 酒が見せる夢
なぜダンテよりも先に自分に出会わなかったのだろうと心底神を憎む。
しかし。
「行こう? ライア」
に声をかけられるだけで嬉しいライアにとっては、それは小さな問題だった。
ライアはの手にあるコップを優しく取ると、先を歩いた。
もそれに続く。
───ライアに少しでも嬉しい事を増やしてあげたくて勝手にやった事だけど…喜んでくれてるみたいでよかった。
は嬉しそうに微笑んでくる彼を見ながら思う。
甘いものが嫌いかどうかも心配だったが、大丈夫そうだ。
このケーキは前にも作った事がある。バージルも食べられる事はわかっていた。
はゆっくりと丁寧にケーキを切りわける。
──────────
「おいしい…」
のケーキを一口食べたライアは、真っ先にそう言った。
「当たり前だ。のケーキだぜ?」
「あぁ。また腕を上げたな」
口々に誉める3人に、は恥ずかしそうに笑う。
ケーキは数回作った事があるのだ。久しぶりで上手く出来たか不安だったが、大丈夫そうでよかった。
「ありがとう。ライア、甘さとか…大丈夫? 嫌じゃない?」
「全く。これくらいがいいです」
「よかった。バージルも平気?」
「あぁ。問題ない」
それがお世辞でない事など見ていればわかる。普段ケーキはあまり食べないバージルがもくもくと手を進めているのだ。
ダンテはそれを、やはり面白くなさそうに見る。
───何だよライアライアって…俺には聞かねーのかよ。
向かいに座っているのに、ダンテには微笑みかけるだけ。どうも面白くなかった。
ヤケで酒をぐいっとあおる。
面倒だとストレートで口に運んでいるそれは、ダンテの秘蔵の酒だった。
随分前から止まらずに飲んでいる。さすがのダンテも頭がぼうっとしてきたが、まだまだ大丈夫。
またあおる。
酒を飲みながらも目を離さず見つめているのは。
見つめているとよく目が合う。こちらを気にしている証拠。
そのまま俺だけ見てればいいのに。
そんな事を考えていると、頭が不意にくらりと揺れた。
思わずうつむいて膝に手を置き身体を支える。
強烈な眠気。飲みすぎたのか。