• テキストサイズ

【DMC】RED

第15章 酒が見せる夢



全く、の優しさにはこちらがはっとさせられる。
忘れかけていた優しさが戻る。

当たり前の事なのに、いつもできない事。それに気付かされる。

ライアは、を抱き締めたい衝動を抑えて拳を握っていた。
何て事をしてくださるのですか、貴女は。

お祝いなんてされた事は一度もない。ただの自己満足だと思っていたけれど。
これほどに嬉しいものなのですか。

温かい。泣きたくなるような気持ち。
唇が震えて。

「ありがとう…、ございます…」

礼を言うのが精一杯だった。

はそんなライアににっこりと微笑む。
わかっているのだろうか。魔術師の境遇を。
そう思ってしまうほど、優しく包み込むような笑顔。

「今日はこれでお祝いしよう。飲み物も買って来たから」

ライアはそれに、嬉しそうにうなずいた。


ダンテはぶすっとした顔でその様子を見ていた。

笑顔の。笑顔のライア。
自分には向けられていない。
本当の笑顔は自分にだけ見せる、と優越感に浸ろうとしても、それは虚しく自分に還り。

───面白くねえ…

急に買い物に行くと言うからてっきり自分へのケーキだと思っていたが、とんだ間違いだった。

まさかライアの為だったなんて。
嫉妬と独占欲が広がる。
そしてそれを押し隠す。


「貸せよ。運んでやる」

「ありがとう」

ダンテはからケーキを受け取り、テーブルに運んだ。
美味しそうなそれを見て一気に空腹感を感じる。

まぁ何にしても、の手作りケーキが食べられるのは嬉しい事だ。
作った理由を無理矢理頭の隅に追い遣り、テーブルの中央にケーキを置く。

/ 206ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp