第14章 割れたティーカップ
間近にあるの黒い瞳。
それが、涙を浮かべながらも恥ずかしそうに嬉しそうに笑う。
───どうしてくれんだよこの可愛さ。
いちいちダンテのツボを突いてくる。確信犯としか思えないくらい的確に。
に出会えた事を感謝するしかない。
神なんて信じないが、今なら信じてやってもいいと。
そう思いさえする。
と笑い。過ごし。
この幸せがずっと続くというのなら。
俺はどんな事でもしよう。
───────────
その頃リビングでは。
じゃれ合う二人とは全く正反対に、非常に冷たい冷戦が勃発していた。
「………………」
「………………」
無言で睨み合うバージルとライア。
ソファで互いに向かい合って座り、揺るぎない視線をぶつける。
逸らした方が負け。そう言うように、どちらも譲らない。
「……言っておくが」
バージルがひやりとした声で言った。
「に手出しをしたら、俺も黙ってはいない。望み通り跡形もなく滅ぼしてやろう」
「それはどうも。当分先の話だと思うがな」
「………………」
「………………」
再び沈黙。
もはや殺気さえ感じられる緊張感。
二人の溝に亀裂が走る。
バージルは無意識のうちに閻魔刀を呼び出そうとし、ライアはそれを見てふわりと魔術の風を起こす。
しかしその時。
「お待たせしました!」
キッチンからとダンテが戻って来た。
ダンテが持つお盆の上に、ティーポットとティーカップ。
はミルクを少し持ってきている。
笑顔でそれをテーブルに置く。そのの顔がさっきよりも輝いていて。
バージルには今まで二人が何をしていたのか容易に想像がついた。
まあ、当然といえば当然か。
息をつき、ダンテが置いたティーポットに手を伸ばすバージル。
カップに紅茶を注ぐ。
「…あっ 砂糖忘れた!」
不意にが言い、走ってキッチンに入っていった。
そしてすぐに戻ってくる。
砂糖か塩か確かめるために少し指ですくうと、ぺろっとなめた。
「…うん。 はい、砂糖! ライアも使う?」
「はい」
砂糖の容器をテーブルに置こうとする。
しかしその手をダンテが止めた。