第2章 悪魔の店
がダンテに連れられて「Devil May cry」というお店に入ると、中には人がいた。
ソファに座って何か本を読んでいるようだ。
その人物が顔を上げてこちらを見た瞬間、は叫ぶ。
「! 同じ顔!?」
「あぁ、双子なんだ。俺ら」
ダンテがわざわざソファにいるもう一人の隣に並ぶ。
髪を二人ともおろしているので、顔だけだとどっちがどっちなのかわからなかった。
ダンテだけでもかなりの存在感なのに、こんなに綺麗な顔と身体を持つ人が二人も。
雰囲気というよりもう空間自体がそこだけ違う気がしてならない。
思わず一歩退く。
「こっちはバージル。俺の兄ちゃんだ」
にっこり笑ってバージルの肩に腕をかけるダンテ。
バージルと呼ばれた方はそれを嫌そうに払いのけると、名を尋ねるようにに視線をよこした。
二人に見とれてぼうっとしていたはそれに気付き、慌てて名乗る。
「…あっ 私、と言います。初めまして!」
ぺこっと頭を下げる。
ダンテは、その仕草にやはり口元をほころばせた。
可愛いぜ、ホント。
何か頭撫でたくなるな。
隣を見ると、バージルはの初々しさに少し意外そうに瞬いている。
やはり見慣れていないせいなのだろう。
だが、嫌だとは思ってないはずだ。
嫌であればとっくに、この場を立ち去っているだろうから。
バージルにささやく。
「たまにはこういう感じもいいだろ?」
彼ははわずかに眉を潜めた。
「どこから連れてきた」
半ばいさめるように言われ、ダンテは心外だという顔でバージルから体を離し。
「人を誘拐犯みたいに言うなよ。悪魔に襲われてたんで助けてやったんだぜ?」
大げさに腕を広げ、同意を求めるようにを振り返る。
は一瞬きょとんとしていたが、すぐに弾かれたように首を縦に振った。
「あっそう! そうなんです! あの、本当にありがとうございましたっ」
深々と頭を下げる。
「いいっていいって」
───ホントに助けるだけだったら事務所にまで連れて来ねぇし。
ダンテはほくそ笑む。
彼女に直感的に惹かれたからこそ連れて来たのだ。