第13章 約束
ダンテは最後にぺろっと跡をなめると、顔を離した。
「もう大丈夫だ」
まだ胸が残っていたが、それはまた今度…いじめぬいてやる。
「…? 何、したの?」
「ナイショ」
鈍い痛みを感じた首筋を押さえながら問うに、意地悪く微笑むダンテ。
何だかわからなかったが、とりあえずもう大丈夫らしい。は安心してダンテに抱きついた。
ダンテはそれを優しく受け止める。
随分触れていなかったような気がするその身体は、心地良い暖かさに包まれていた。
「どうしてこうなったのか…話、聞かせてくれるよな?」
「うん」
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ダンテが思いっきり殴ったせいでライアが話しづらそうだった為、かわりにが話をした。
まるで今までの分を埋めるように、始終ダンテにぴったりくっつきながら。
そのおかげでライアを見張っているバージルは不機嫌最高潮だった。
一見微笑ましく見えるこの光景。
しかし、同じくに恋心を抱くバージルとライアにとっては、たまったものではない。
ただでさえ先程のやり取りを見せつけられたというのに、これでは拷問だ。
バージルもを心配したのだ。大事には至らずに戻った喜びを、ダンテだけに味わわせるわけにはいかないのに。
「おい貴様。いつまでくっついてる」
「いーじゃねーか! 離れてたんだしくっつかせろよ」
「駄目だ」
「なんで」
「………」
俺だって心配した、と言えない自分が憎い。言える性格ではなかった。
かわりにギッとダンテを睨む。
「成程ね。誰かと寝なきゃ、こいつ死ぬのか」
「うん。今までいっぱい怖くて、不安だったと思うの。だからハッキリ断れなくて…」
床に座ったダンテの前に、重なるようにして座っている。
ダンテは腕を前に回しての前で組んでいる。
らしいなとダンテは思った。
彼女は優しすぎる。誘いを断りきれなかったのだろう。
あの手紙の内容も、これでうなずける。