第13章 約束
その様子はあまりに痛々しくて傷々しくて。
ごめんなさい。ごめんなさい。
何て浅はかで無知だったのだろう。ダンテにこんな思いをさせてしまった。
の目からは、こぼれる涙。
ライアを見ると、彼は「行け」と言うようにこちらを見つめた。
怪我が気になって戸惑うが、血が出ているものの、ただ動かないだけで大丈夫そうだ。
ゆっくりと離れる。
───震えてる…
うつ向くダンテ。地面に力無く下ろした手は力強く拳を握っていた。
近づいてもそのまま見つめていても顔を上げない。
わかっていたもののそれが悲しくて。
ただ罪悪感が渦巻いて。
今はダンテがとても小さく見えた。
いつもあんなに強く大きい存在なのに。
ダンテの前にしゃがむ。そのたくましい身体を、小さな腕で大きく包み込む。
するとようやく、ダンテは泣いているような声で言った。
「何でなんだよ……はあいつを選んだのか? だからあんな…」
「違う。違うよ。話を聞いて…」
「嫌だ! 聞きたくねぇ…っ」
拒絶。頑なな拒否。初めての。
はまたこぼれそうになる涙をぐっと抑えた。
ここで泣いても何にもならない。ただ悲観しているだけ。
「ダンテ、お願い……聞いて」
「嫌だ」
「聞いて…!」
「聞かねぇ! あいつのとこへでも行っちまえよ!」
一番。
言われたくなかった事。
これは罰。
私が優柔不断で無知だった罰。
なのに、涙は抑えられなかった。
「……っ! 私が一番好きなのは、ダンテだよ!」
ダンテを抱く腕に、ぎゅっと力をこめる。
それでもダンテは顔を上げようとしない。
「ごめん…ごめんね、ダンテ…こんなに好きなのに……。お願い、わかって…話を聞いて」
ダンテの髪に口付ける。さらさらとした髪は、の唇に優しく触れた。
そうしてただ祈り。言葉ではもはや伝えられない思いを。
時を過ぎるのを待つ。
大丈夫、彼はわかってくれる。
そう信じているからこその沈黙だった。