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【弱ペダ・荒】幼い奴ら

第1章 終演と再会


念願の箱根学園。
小学生の時、自転車が欲しいと言ったら女子だというのに店員に勧められたからと買ってきてくれたマウンテンバイク。
女の子達が可愛い色の自転車を乗るなか、男の子色をしたその自転車は見た目は劣ったが他と比べてスピードが出てどんな道にも強いそれに魅了されてその延長でロードバイクにはまった。
けれども中学でそんな部活はなく、もっぱら1人で乗ってはコースやレースを巡る日々。そして親戚の家の近くで開催された高校のインハイを見に行った時、参加校でギリギリ通える学校が箱根学園だった。しかも強豪校。これは凄い!と、それ以来ずっと箱学志望。
(これでやっと学校でもバイクが触れる。)
部長と話し合って、メカニックとして入部し初日の挨拶で先輩達の名前を覚えようとメモをとっている時に聞こえた忘れもしないあの名前。
驚きすぎて、怖くて、次の先輩の名前をメモするのを言い訳に顔をあげなかった。
(だってあの名前は、あの口が悪くて怖くて、その口で私を好きだと言った先輩の名だ。荒々しく卒業されて、高校でも荒ていると聞いていたのに。)
まさか箱学で、この部で大人しくしているなんて、噂は嘘だったのか。
(一体これから、どんな顔をして荒北先輩と会えば良い?)
一方荒北は
(気づいてねーのか?)
挨拶が終わっても顔を上げない名の様子を伺っていた。
(まぁ、二年も前の話であちらはふった側。しかも嫌いな相手ならば忘れられて当然か)
そう思いながら全員の挨拶が終わり、新入部員だけが並ばさられると
「一人一人かいでやるヨ!」
と楽しげに見守る部長の横で荒北がそう言う。
(こんなの絶対ばれるじゃん!!)
とハラハラする名をよそに
「お前部活やめそうだな」
「見込みねえ」
と、どんどん近づいてくる荒北。
そして今思えば黒田とやり合う様子に
(相変わらず口が悪い・・・)
と思っているといつの間にか目の前にきていてはたとする。
お互い
((やっぱり))
と、そうなった感じがした。
だが荒北は名を見て
「胡散臭いなお前」
とだけ言って去ってしまった。
(・・・・・は?!)
と覚えているかの反応よりもそちらの方が気になってしまった。
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