第3章 再開2
「なんでそこで名なのだ!」
驚く東堂に名は笑いながら
「あの頃はまぁ、なにもなかったので」
中学時代、自転車競技部なんてなくて帰宅部で、バイク好きも隠して、周りには恋愛以外なにもない様に思われていたのだろう。別に意地を張っている、わけでは、ない、が
「まぁ、そんなわけで今、脳内はバイクでいっぱいで恋愛の隙はないですねぇ」
と、うっとりと言うから周りがつい笑ってしまう。
「それでは誰からも告白されないな!」
東堂がそう言って和んだ空気にまたもや
「え?されましたよ?」
と、さらりと予想外に返すものだからメンバーが問いただせば
「今年は誰とも付き合う気はないです!」
と断ったそうだ。
それをきいて安堵した荒北。
荒北が好きだった名はもっとおとなしそうで、それでいて明るくて、野球部のマネときゃっきゃしているのが可愛いと思った中学の頃の名。
だが今思えば名のことは何も知らず、再会すればバイクオタクで、目配りの良さや、一生懸命ついてくる姿勢、言葉を交わしている内に名そのものが、そう、また気になりだしていた。
だがそんなことなどお構いなしにインハイは近づき、ますますレギュラーメンバーといる時間が長くなる名。
そして、その部員の内の一人が最近やけに名と親しくしているのを荒北は気にしていた。