第7章 戦争の残火
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「兄様、食事できましたよ」
自分のベッドに横になっている人物に近付き、声を掛ける薄雪。
しかし、返事は無い。
「治兄様?眠ってしまわれ―………!」
グイッと。
不意に腕を引かれてベッドの中に引摺り込まれる。
「兄様!?」
驚き半分でパタパタと小さな抵抗を示す。
「………何で私の目の前で中也と抱き合ったりするかな?」
「っ!?」
耳元で低く囁かれ、ビクッとする薄雪。
「兄様は私を守って下さっただけで、他意なんか…」
「……。」
しゅん、と落ち込む薄雪に小さく溜め息を着いた。
「んっ……!」
そして、口付ける。
「まあ、良いよ。でも続きは食後ね」
「~~~!」
身体を起こして食卓につく。
「何で戦況下ならば私の行動が予測出来るのに、他の時はこうも隙だらけなんだか」
はぁ、と溜め息を着く。
先程、利用された腹癒せもあったのかもしれない。
「……2人きりの時くらい……考えなくても良いかなって……思って…その……」
「……。」
しかし、唯のぼやきの積もりだったが予想外の答えに太宰は思わず箸を止めた。
最近になって出てきた隙を確実に突いてきた積もりだったが。
良く云えば『故意』に、
悪く云えば『態と』作られていたモノ。
「早く食事済ませて」
「え……」
「でないと今からでもいいけど」
「良くないです!そんな心算じゃ……!」
「薄雪が仕事以外で私を動かすなんて未だ未だ早いよ」
「だから本当にそんな心算じゃ……っ!」
完全に太宰のペースに持ち込まれてしまった薄雪は太宰の腕の中で食事を取る羽目になったのだった―――。